こんにちは、おざたろうです。
“VESPERBELL 3rd ONE-MAN LIVE BEYOND”(以下、「BEYOND」)についてまとめます。
概要
- イベント名:VESPERBELL 3rd ONE-MAN LIVE BEYOND
- 日時:2025年6月2日(月) 開場18:00 開演19:00
- 会場:LIQUIDROOM(恵比寿)、オンライン(Z-aN)
背景
「BEYOND」開催発表までの経緯
2025年1月に行われたVESPERBELL 2nd ONE-MAN LIVE「RUMBLING」にて、3rd ONE-MAN LIVEが開催されるという事実は発表されていました。
当時は、「RUMBLING」の終演後のエンドロールでのサプライズ発表となっており、日付や開場、そしてライブのタイトルなどの情報までは明かされませんでしたが、この発表に会場は最大級の熱気に包まれました。

そして4月に、VESPERBELL公式Xからライブの詳細情報について発表がありました。
日付が平日の6月2日(月)であるため多くのBELLSからは悲鳴が上がりましたが、「現地に来て欲しい」というヨミとカスカたっての願いもあり、当時のタイムラインやコメント欄は何とかしてスケジュールを調整して現地にたどり着こうとするBELLSの強い意志で満たされていました。
会場のLIQUIDROOMは東京の恵比寿にあるライブハウスで、およそ1000人のキャパシティを有しています。
単純なキャパシティでは2ndワンマンの「RUMBLING」の会場であった、1300人収容可能なSportity O-EASTに軍配が上がりますが、「RUMBLING」では2階席を一般に開放していなかったことを踏まえると、実態としては「RUMBLING」とほぼ同等の規模と言えそうです。
VESPERBELLワンマン初の「生バンド」
今回のライブの最大の特徴は、『生バンドライブ』であることです。
過去、VESPERBELLは「RIOT MUSIC 1stLIVE “Re:Volt”」(2021年)や、「VTubur Fes 2022」(2022年)などで生バンドライブを経験していますが、VESPERBELLのワンマンライブとしては今回の「BEYOND」が初めての生バンドライブとなりました。
今回のバンドメンバーは以下の4名でした。
なお、このメンバーを招集したのはギターを担当した坂本夏樹さんだったようです。
ギター:坂本夏樹
ベース:中村圭
キーボード:鳥山昂
ドラム:ホリエマム
インタビュー
「BEYOND」開催を目前に控えた5月30日に、VESPERBELLのインタビュー記事が公開されました。
このインタビューでは、VESPERBELL結成からの経緯や、ヨミとカスカの音楽へのこだわりまで記載されており、非常に内容の濃い記事となっています。
この記事の中で「BEYOND」についても言及していました。
前回のワンマンライブ「RUMBLING」での盛り上がりも凄かったと話しながらも、今回の「BEYOND」は『「RUMBLING」もゆうに超えてしまうだろう』とカスカが話しており、今回のライブへの自信を伺わせる内容となっていました。
その一方で、ヨミは『生バンドの難しさもあるので、失敗しないことだけを・・・』と、若干の不安を覗かせ、ヨミらしい一面を見せながらも、『生バンドで一体感がより生まれやすくなると思う』と話しており、やはり生バンドで開催する「BEYOND」に手応えを感じているようでした。
その他にも、実に読み応えがある内容が詰まっていたため、お時間があるときにでもご一読頂くことをおすすめします。

現地の様子
現地物販
前回の現地ワンマンライブ「RUMBLING」と同様、「BEYOND」でも現地の物販がありました。
今回のグッズの注目ポイントは、タトゥーシールとライトバングルではないでしょうか。
いずれも現地ライブならではのグッズであり、VESPERBELLとの繋がりや会場の一体感を感じることができる素晴らしいグッズでした。
特にライトバングルは、「ペンライトではない」点がVESPERBELLらしさであり、拳で盛り上がることが多いVESPERBELLのライブを象徴するグッズ展開でした。
現地の物販での会計の回転は「RUMBLING」と比較するとスムーズであり、グッズの入手まで効率的に進むことができ、ストレスが少なかったのが非常に嬉しいポイントでした。
また、「BEYOND」の現地物販では現金、クレジットカード以外にも、QRコード決済や交通系ICなど、あらゆる手段で決済が可能である点も有り難いポイントでした。
【「BEYOND」で利用できた決済手段】
・現金・iD・QUICPay
・クレジットカード( Visa / Mastercard / JCB / Amex / Diners Club / Discover )
・交通系IC(Suica / PASMO / Kitaca / toica / manaca / ICOCA / SUGOCA / nimoca / はやかけん)
・QRコード決済(PayPay / au PAY / d払い / メルペイ)
入場前
開演の1時間前である18時から、番号の若い順に入場の案内が始まりました。
自分の番号が呼ばれたらスタッフの指示に従って移動していくのですが、その道中でファンからVESPERBELLへ送られたフラワースタンドを見ることができました。
まずは、BELLS有志で参加者を募って作成したフラワースタンドです。
ワンマンライブに限らず、VESPERBELLが現地ライブに出演する際は必ずと言って良い頻度でBELLS有志によるフラワースタンドが作成されます。
今回は過去最大クラスの大きさであり、圧巻のクオリティでした。
また、ヨミとカスカのイラストの間に自分が入ることによって3ショットの写真撮影が可能なフォトスポットとしても設計されており、非常にユニークなフラワースタンドでした。

また、有志の支援を募らずにファンが個人で作成したフラワースタンドも展示されており、VESPERBELLへの強い愛を感じることができました。

さらに、これまで”海色”や”ANIMA”などのカバーイラストを作成していたイラストレーターの入河さんが個人で出されたフラワースタンドも展示されていました。
実は入河さんは、「RAMPAGE」、「RUMBLING」と、これまでVESPERBELLが実施してきた全ての現地ワンマンライブでもフラワースタンドを贈られています。
普段からVESPERBELLのファンアートまで作成されていることを踏まえても、イラストレーターとしてVESPERBELLの活動に携わりながら、1人のファンとしてVESPERBELLを愛していることが伝わってきました。

入場後
入場すると、会場は静寂と緊張感に包まれたライブ前特有の雰囲気に包まれていました。
前方のスクリーンでは、今回のライブタイトルである「BEYOND」の文字が回転していました。

また、ステージの上にはドラムやキーボード、ベースやギターといった楽器が設置されており、今回のライブが生バンドライブであることを改めて感じさせました。

やがてバンドメンバーの4名がステージに現れ、会場からは拍手と歓声が沸き起こりました。
セットリスト
今回のライブのセットリストは以下の通りです。
- RAMPAGE
- inspire
- Hurt
- 完全感覚Dreamer
- キミシダイ列車
- VORACITY
- リライト
- Touch off
- 怪獣の花唄
- 革命デュアリズム
- 天ノ弱
- カルマ
- ignition
- 或いは虚空に夢を視る
- Bell Ringer
- 鳴動
- RISE
1曲目:RAMPAGE
バンドメンバーの登場からほどなくして、会場に流れていた機械音のような音が大きくなり、直後にスクリーンが暗転して、会場には観客が腕に装着しているライトバングルの輝きが際立ちました。
そしていよいよ盛大なバンドサウンドによる”Bell Ringer”の演奏とともにスクリーンにオープニング映像が映し出され、ライブの開演を告げました。
「2025.06.02 MON」「AT LIQUIDROOM」「VESPERBELL」「3RD ONE-MAN LIVE」と立て続けに表示された後で、今回のライブタイトルである「BEYOND」の文字が映され、会場では拍手が沸き起こりました。

その後、バンドの演奏の中、ついに主役がステージに姿を現しました。
ステージの中央に立つヨミとカスカの姿は、このライブへの自信をも感じさせる風格と存在感に満ちていました。
ヨミとカスカがおもむろにメガホンを持ち上げ、二人の声が会場に響き渡りました。

「みんなー!お待たせー!!」というカスカの声が観客の熱量を引き上げました。

そして、直後の「お前ら声出す準備できてんのかー!?」というヨミの煽りで、観客の心に火が付きました。

「いくぞLIQUIDー!!!」という二人の声が会場に響き渡った直後、ライブの始まりを告げる一曲目の”RAMPAGE”の歌唱が始まりました。

”RAMPAGE”はVESPERBELLのオリジナル曲の中でも言わずとしてた「盛り上げ曲」です。
これまではライブ終盤やアンコールなど、ライブのクライマックスとして歌われてきたこの曲がトップバッターとなった点は一つのサプライズではありましたが、「最初から全力で盛り上げる」というVESPERBELLの意思を感じました。
もちろん勢いだけでなく、ヨミとカスカの歌唱力も冴え渡ります。
曲冒頭の「Raise a shout」でのロングトーンで、自慢の歌唱力をいきなり魅せてくれました。
この場面以外にも安定感の高いロングトーンが随所に見られ、”RAMPAGE ”という曲をいかに二人が歌いこんで自分たちのものとしてきたか、そしてこのライブに向けてどれほど準備を重ねてきたかを物語っていました。
さらに、定番であるサビ前の「お前ら準備は~?」という煽りは基本的にヨミがやることが多かった中で、今回はカスカによる「みんな準備は~?」という煽りもあり、ヨミとカスカが二人で見事に観客をノせて会場を一気に盛り上げました。

また、「BEYOND」ではRK Musicの映像技術も注目すべきポイントでした。
まず、モデルの解像度が高く、衣装や仮面、そしてメガホンの質感などの細部の表現まで徹底したこだわりが見られました。

また、ラスサビ前にはヨミとカスカが装着していた仮面を外してステージ外に放り投げるという、これまでにない演出が見られました。
ヨミとカスカの動作に追従し、放物線の軌道を描いて仮面が宙を舞う表現は明らかに簡単な技術ではなく、RK Musicの技術力の高さが光りました。
さらに、仮面を外したことで露わになったヨミとカスカの素顔にもRK Musicの技術が凝縮されていました。
今回の3Dモデルは、前回のワンマンライブ「RUMBLING」のモデルよりも、「RUMBLING」前日にゲスト出演した「KMNCULTURE」でのモデルに近い雰囲気となっていました。
これにより、立体感が強調されていると同時に、表情の機微をより精密に表現できるようになっており、ヨミとカスカの魅力的なビジュアルに磨きがかかりました。

なお、ライブ後にヨミが明かしたとおり、この違いはスタジオの違いによる表現の差異によるものであるため、3Dモデルがバージョンアップしたわけでは無いようです。

曲が終わった後には、静止したヨミとカスカの手からメガホンが一度離れて輝きを放ったのち、マイクへと変形して二人の手元に戻るという新しい演出も見られました。



2曲目:inspire
バンドの生演奏、RK Musicの映像技術、そして自慢の歌唱力と盛り上げ力によって、ものの数分で最高の雰囲気を作り上げてみせたVESPERBELLが2曲目で歌ったのは”inspire”でした。
”inspire”は、2022年にリリースされた1stアルバム「革命」に収録されている楽曲です。
最大の特徴は2サビ後のヘドバンパートで、VESPERBELLの楽曲としては初のヘドバンが組み込まれた楽曲として知られています。
イントロで、「おーい2曲目でバテてんじゃねーぞー!」というヨミによる力強い煽りに呼応するように観客が大声で応え、この時点で非常に熱い雰囲気が完成されていました。
Aメロでベース、次いでギターが非常に効果的なアクセントとなる中で、会場に響き渡るヨミとカスカの美しい生歌にフロアはクラップや拳で応えました。

もともと真っ直ぐな歌声が特徴的なカスカですが、今回のカスカの歌声はいつにも増して会場全体に通り、強烈な存在感を放っていました。
今回の3Dモデルの表情も相まって、カスカのかっこよさがこれまで以上に引き出されていました。

元来、力強さに定評のあるヨミは持ち前のパワフルな歌声の魅力をそのままに、繊細さも兼ね備えた歌声を披露し、どんな曲でも歌うことができる表現力の高さを見せつけてくれました。

そして、2サビ後に恒例のヘドバンの時間が訪れました。
会場全体が激しく頭を振りながら「おい!おい!」と叫ぶ光景はまさしく『熱狂』そのもので、ヘドバン後のヨミからの「よくできました~」というご褒美に会場からは黄色い歓声が上がりました。
A,Bメロでしっかりと聴かせ、サビで盛り上げ、ヘドバンで熱狂の渦を巻き起こすという、曲を通してフロアを手玉に取るような最高のパフォーマンスを披露してくれました。

3曲目:Hurt
続けて3曲目に2人が歌ったのは、”Hurt”でした。
”Hurt”は、拳を上げてたり声を出す箇所やクラップのタイミングが分かりやすく、非常にノりやすいため、ライブとの親和度が非常に高い曲です。
Aメロ、Bメロ、サビと、ラスサビ以外の全てをヨミとカスカが交互に歌うパート振りであることから、2人それぞれの歌声の魅力を最大限楽しむことができます。
また、ヨミが歌っているときはカスカが、逆にカスカが歌っているときはヨミが明確な動作で観客をリードしてくれたため、フロア全体が自信を持って身体全体でノることができました。

さらに、この曲最大の特徴とも言えるサビ終わりのロングトーンでは2人とも美しい歌声を会場中に響かせ、フロアは大歓声に包まれました。
自身の音域的に、このロングトーンの部分が得意であることを公言しているカスカは魅力的なハイトーンボイスを披露してくれました。
そしてヨミは、ゆったりとしたビブラートも使いながらテクニカルに歌い上げてみせました。

「ラスト盛り上がっていくぞー!」というヨミの声がけで迎えたラスサビでは、交互に歌ってきたヨミとカスカが一緒にメインを歌い上げました。
2人の声が重なり、フロア全体に届く様子はまさに圧巻の一言で、観客の拳もよりいっそう高く挙げられて「おい!おい!」の大声がフロアから発生し、非常に良い雰囲気の中で2人は”Hurt”を歌いきりました。

MC①
開演から連続で3曲を歌い終えたタイミングで、MCが入りました。
まずは満面の笑みの2人から、「VESPERBELLのヨミとカスカでーす!盛り上がってますか~!?」という挨拶があり、フロアは大歓声で応えました。


ここで、今回のライブの主要なコンセプトの一つである、生バンドについても改めて言及がありました。
ヨミとカスカの話が一区切りする度にバンドメンバーが楽器をかき鳴らして会場を盛り上げる様子は、生バンドライブならではの会場の雰囲気を作り上げました。


「今日はよろしく~!」というヨミの言葉に歓声が沸き起こった後で、カスカが観客に向け、「このライブの告知の時に出た文章覚えてる?」と問いかけました。
前述の通り、今回のライブに関するVESPERBELL公式からのアナウンスには、「オリジナルからカバーまで 素晴らしい歌声をあなたに。」という文言がしっかりと明記されていました。
この文言から、「BEYOND」ではオリジナル曲だけでなくカバー曲も歌うことが確定しており、遂にその時が来たようです。
「やっちゃいましょう」というカスカの言葉で、VESPERBELLの現地ワンマンライブとしては初となるカバー曲のパートに移りました。
4曲目:完全感覚Dreamer
カバー曲パート1曲目は、ヨミのソロカバーとして動画が上がっており、VESPERBELLの投稿動画の中では群を抜いた再生回数を誇る大人気曲の“完全感覚Dreamer”でした。
ロックソングの王道中の王道である”完全感覚Dreamer”のイントロが始まった途端、会場のボルテージが一段階上がるのを感じました。
また、ヨミとカスカのエスコートもあって、フロアからは大声量の「おい!おい!」の声が轟き、バンドメンバーの演奏にも力が入りました。

この曲で、ヨミとカスカの真価が発揮されました。
後日、「今回のライブで”完全感覚Dreamer”が歌ってて一番楽しかった」と話したヨミの歌声は、もともとヨミが出しているカバー動画を比較しても、生歌にも関わらずカバー音源に劣ることなく、むしろ強者故の余裕すら感じさせる圧巻の歌声であり、ヨミの歌唱力・表現力を如実に示していました。
また、ヨミは2023年に実施された「VESPERBELL 3D YouTube LIVE」でも”完全感覚Dreamer”を歌唱していましたが、当時と比較しても明らかに今回の歌声の方が安定してハイクオリティでした。
活動当初から「歌がうまい」と評価され続けてきたヨミですが、歌唱力だけでなくライブでの魅せ方も含め、いまだに進化を続ける底知れない才能と努力が感じられました。

カスカがライブで”完全感覚Dreamer”を歌ったのは今回が初めてですが、過去には歌枠で歌唱したことがあり、当時はカスカの可愛さが光る歌い方となっていました。
ところが今回のライブでは、ヨミと遜色ないかっこよさ、力強さを持った歌声で歌い上げており、このライブ屈指の注目ポイントの一つでした。
「歌枠」と「現地ライブ」で状況が全く異なっていることを加味しても、明らかにカスカの歌唱力、表現力が向上しており、飛躍的な成長を遂げているカスカの実力に驚きを隠せませんでした。

ヨミの歌声に、最高の相方であるカスカの歌声が加わることにより、ヨミのソロカバーよりも歌声の重厚感が格段に増し、VESPERBELL最大出力の火力が発揮されて会場を熱く盛り上げました。

5曲目:キミシダイ列車
”完全感覚Dreamer”の後に歌われたのは、同様にONE OK ROCKの楽曲である”キミシダイ列車”でした。
”キミシダイ列車”は、2024年に投稿された比較的新しいカバー曲で、投稿されて以降、ファンの間で高い人気を博しています。
カバー動画よりも爽やかさを増した音楽をバンドが演奏し、拳を上げた観客が「おい!おい!」といった声を向けるステージの中心で、ヨミとカスカの歌声が軽快に響きました。
また、サビではヨミとカスカが客席にマイクを向けてくれたことで、会場全体で「WOW WOW WOW」と一緒に歌うことができ、会場に心地よい一体感が生まれました。


また、落ちサビではヨミとカスカの歌声に聴き入ることができました。
最高の盛り上がりと一体感の最中に訪れた一瞬の落ち着き。その中で聴こえるヨミとカスカの歌声の美しさに強い感動を覚えました。

その後に迎えたラスサビでは拳を高々と掲げた観客のもとに、見事に重なり合ったヨミとカスカの歌声が降り注がれました。
ステージを照らす明るい暖色のライトも相まって、非常に熱くあり、そして穏やかでもある雰囲気の中で2人は”キミシダイ列車”を歌いきりました。

6曲目:VORACITY
ONE OK ROCKのカバーが2曲続いた後に歌われたのは、MYTH & ROIDの”VORACITY”でした。
おそらく、今回のセットリストの中で最も意外性があった選曲はこの”VORACITY”でしょう。
過去、VESPERBELLは2021年に開催された「TUBEOUT! Vol.12」にて一度だけ”VORACITY”を歌ったことがありますが、現地ライブでの歌唱は今回が初でした。
今回のライブで”VORACITY”が非常に良い選曲だったことは最初のキーボードのド派手な演奏の時点で証明されました。
これまでのザ・ロックの雰囲気とはまた変わり、ダークなかっこよさを漂わせるキーボードの演奏が非常に効き、一気に会場の雰囲気を変えてみせました。
この演奏が響く中で眼前に現れたカスカが浮かべていた不敵な笑みには、全てを委ねてしまいそうな妖しげな雰囲気すら感じられました。

また、「Can’t stop can’t stop」のタイミングで観客に手を差しのばせたヨミが見せた表情も妖しげ雰囲気を纏っており、思わず吸い込まれそうな魅力がありました。
これほどまでの表情を表現できるRK Musicの技術にはやはり舌を巻きます。
それにしても本当にビジュアルが良いです。

ヨミとカスカが豹変させたのは、表情だけではありません。
曲の世界観に合わせて2人は歌声にも妖しげな雰囲気を纏わせており、ヨミとカスカの表現力は衝撃的な領域に到達していました。
特に、Bメロで披露したヨミの笑い声には狂気じみた美しさで溢れていました。
カバー動画でもヨミは同様に笑い声の部分を担当していましたが、「BEYOND」でのヨミの笑い声の狂気は明らかにカバー動画を超えていました。
まるで人格すら変わってしまったかのようなヨミのすさまじい表現力、曲への没入力を目の当たりにし、観客は盛大な歓声を上げました。
また、ラスサビでのヨミのシャウト寄りのロングトーンも衝撃的な美しさでした。
VESPERBELLの抜きん出た表現力が完全に会場を飲み込んだ圧巻のパフォーマンスでした。

MC②
立て続けにカバー曲を3曲歌いきったところで、2度目のMCを挟みました。
熱気の余韻が色濃く残る会場の雰囲気でしたが、開口一番に「ということで、本日はここまで!」というヨミの冗談が飛び出し、会場が一気に和やかな雰囲気に包まれました。

もちろんここでライブが終わるはずも無いため、「みんなの方がバテてそうだけど大丈夫ですか?」とヨミは心配しているようでしたが、フロアから上がった盛大な歓声を聞いて安心した様子でした。

ここでカスカから、「未発表のカバーも用意してきました!」という驚きの発表があり、会場が大歓声に包まれました。
ちなみに、ライブにて未発表カバー曲をサプライズ披露するのは、2020年の「VIRTUAFREAK-REWIRE-」での”ピースサイン”、2023年「VESPERBELL 3D YouTube LIVE」でカスカが歌った”トリカゴ”に続く3例目となりました。
期待に満ちた雰囲気の中、2人はMCを終えて次の楽曲の歌唱に移りました。

7曲目:リライト
「未発表カバー曲」として歌われたのは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの”リライト”でした。
2004年にリリースされた”リライト”は、アジカンの代表曲であり、アニメ「鋼の錬金術師」のオープニング曲として広い世代にわたり知られている楽曲です。
「しっかり声出していけよ!」というヨミの声に続くように、フロアから「おい!おい!」という声が響きました。
Aメロでは観客がヨミとカスカの歌声に聴き入りながら、会場の至る所でクラップが巻き起こりました。

そしてサビでは、疾走感溢れる曲調にヨミとカスカのハモりが心地よくマッチし、会場が非常に爽やかな雰囲気に包まれました。

超有名な「消して リライトして」のフレーズでは、フロア全体がヨミとカスカに向けて腕を差し出しながら全員で歌うことができ、非常に美しい瞬間となりました。
今回、サプライズの披露となった”リライト”はもともと知名度が高い曲ではありますが、それに加えたヨミとカスカの歌唱力の高さにより、初披露とは思えない程の一体感が生まれました。

8曲目:Touch off
このライブで用意されていた未発表カバー曲は1曲だけではありませんでした。
2曲目の未発表カバー曲として次に披露されたのは、UVERworldの”Touch off”でした。
歌う前に特に2人から曲名の紹介はありませんでしたが、このライブを見ていた方の多くはこの曲のイントロに聞き覚えがあったのではないかと思います。
人気バンドのUVERworldの楽曲であることも理由として大きいですが、実は「BEYOND」前に何度か行われていたヨミとカスカの歌枠でヨミもカスカも”Touch off”を歌っていたのです。
ライブ前のほぼ同じ時期に2人が同じ曲を歌ったこと自体がかなり珍しいですが、思い返せば当時の2人の完成度がカバーしていない楽曲にしては異様に高かったため、「BEYOND」でこの曲が歌われることに勘付いていた方も一定数いらっしゃったかもしれません。
歌枠で披露された時に既にヨミの力強い歌声の良さが抜群に活きていましたが、やはりライブで聴くヨミの歌声は桁違いのクオリティであり、曲全体を通した圧巻のかっこよさが観客の心をがっちりと掴みました。

サビではいっそう激しさを増したヨミとカスカの歌声と動きに乗せられるように会場の熱量も一気に上昇しました。
サビの特徴的なフレーズである「no, no, no,」ではフロアからも大きな声が上がり、ステージにいるヨミとカスカに向けて全力で声を届けることができました。

そして、この曲の最大の注目ポイントは2サビ後のCメロにありました。
ここでは、ヨミとカスカが代わる代わる若干シャウト気味に歌いましたが、特にカスカの歌声が圧巻でした。
まるで魂を絞り出すような力強いカスカの歌声はこれまで聴いたことがないほどの迫力に満ちており、会場を興奮の渦に巻き込みました。
この時点で既に8曲目の歌唱で、疲労も溜まりつつある状況だったはずです。
それにも関わらず、その疲れを一切感じさせないカスカの歌声は、強靱なスタミナとメンタルの両方が揃わなければ決して実現できないものであることは間違いありません。
カスカという歌手の実力と魂に触れ、会場は非常に高い熱量に包まれました。

また、ラストの語りパートでは2人が向き合って一緒に歌う演出となっていました。
かなり難易度の高いセリフパートでしたが、ヨミとカスカのコンビネーションがしっかりと発揮され、完全に息ピッタリのノーミスで最後まで歌いきり、会場は大歓声に包まれました。


9曲目:怪獣の花唄
ここで未発表カバー曲の初披露は終わり、改めて聴きなじみのあるカバー曲パートに戻りました。
このライブ9曲目として歌われたのは、”怪獣の花唄”でした。
”怪獣の花唄”は、2024年の「VESPERBELL 4th ANNIVERSARY LIVE 「Noise in Silence」」にてヨミのソロとして披露されましたが、途中で機材トラブルによって中断となっていたため、ライブで一曲通して歌われたのは今回が初めてでした。
また、カバー動画としてはヨミのソロカバーであるため、カスカがライブで”怪獣の花唄”を歌うのは完全に初めてでした。
そんなカスカですが、先ほどの”Touch off”から打って変わり、穏やかな表情で軽快に歌い上げる姿が非常に印象的で、カスカが持ち合わせている明るい歌声がステージそのものを明るく照らすかのように煌びやかな輝きを放っていました。
後日の配信で、カスカはこの”怪獣の花唄”が一番楽しく歌えたと明かしており、まさにその感情が表われたパフォーマンスでした。
相方のヨミは広範囲のジャンルの曲をカバーできることで知られていますが、カスカも”Touch off”からの”怪獣の花唄”という、とてつもない振り幅の曲を瞬時に切り替えて歌い上げるという、常人離れしたパフォーマンスを見せてくれました。
この点からして、カスカも相当な適応力とカバー範囲の広さを有していること間違いありません。

そしてヨミは、カバー動画の投稿以外にも”怪獣の花唄”を幾度となく歌枠でも歌ってきたことから、しっかりと曲を咀嚼し、自分の中で解釈しきったうえで歌っていることが伝わってくる練度のパフォーマンスでした。
たとえカバー曲であっても、自分の歌のように歌えるレベルまで引き上げることができるのは、ヨミの感受性の高さや、確立された歌手としてのスタイル、そして純粋な音楽的センスが組み合わさって為せる業であるように感じます。
ラスサビ前のCメロでは、「みんなも!」と言いながら客席にマイクを向けて観客にも歌唱を促し、会場の一体感を生み出しました。
ここからラスサビにかけて、観客含めた大合唱となった会場は非常に暖かく、爽やかで幸せな雰囲気に満ちていました。

そしてラスサビでは、ヨミとカスカが向き合って歌うシーンもあり、ファンとしては非常に胸が熱くなる光景でした。
ちなみに、ライブ後の振り返り配信にて、こういった二人で向き合うシーンは基本的に本番のアドリブであることを2人は明かしていました。

MC③
歌い終わった後に一度ステージが暗転し、フロアからヨミとカスカを呼ぶ観客の大声が聞こえてくる中、再度ステージが明転してMCが入りました。
ヨミが、「カバーの初披露があることに驚いた人も多いのではないか」という前置きをしつつ、今回初披露した”リライト”と”Touch off”のカバー動画が後日VESPERBELLのYouTubeチャンネルにて公開されるを明かし、会場は歓声に包まれました。

特にメジャーデビュー以降のVESPERBELLは、割と最近の流行曲を中心にカバー動画を投稿する傾向が強かった中で、”リライト”のような平成時代の流行曲を投稿することは珍しく、どちらかと言うと活動初期の選曲に近い物を感じました。
一方で、”Touch off”に関しては直近のカバー曲と同系統であり、納得の選曲といえます。

MCとしての内容は以上で、ライブは次の曲へと移りました。
10曲目:革命デュアリズム
カバー曲パートはまだ続きます。続いて2人が歌ったのは、”革命デュアリズム”でした。
”革命デュアリズム”はVESPERBELLが活動を始めてから初めて投稿したカバー曲であることから、VESPERBELLにとっては重要なカバー曲です。
また、”革命デュアリズム”は、2020年の活動初期にVESPERBELLが初めて行ったライブ「『RISE』リリース記念3D配信」の1曲目として歌われており、VESPERBELLにとってはライブで初めて歌った曲でもあります。
その一方で、実はそれ以来ライブでVESPERBELLが“革命デュアリズム”を歌っていなかったため、今回は5年弱もの期間を経て、満を持してのライブ再登場でした。
それもあってか、イントロの演奏が始まった瞬間に客席からは「うわーーー!!」という歓声が上がりました。
パート振りは、カバー動画通りにヨミが西川貴教さん、カスカが水樹奈々さんのパートでした。
かつてヨミは、西川さんパートを歌うときに西川さんを”降ろす”という表現をしており、西川さんに寄せた歌い方を意識しているようでした。
今回も原曲へのリスペクトの範囲で声色などを寄せているようでしたが、しっかりと自分の歌い方として昇華させており、目の前で歌っていたのは「西川さんに寄せたヨミ」ではなく、「ヨミ」というアーティストに他なりませんでした。
低音から高音まで、存在感抜群な歌声には畏怖の念すら抱いてしまいそうな程に重厚感が溢れており、生歌でこの歌声を出すことができることに衝撃を受けました。

その一方で、カスカはヨミと対をなす突き抜けるようなハイトーンボイスで会場を席巻しました。
ヨミの個性に負けることなく自分の歌声を表現しきるカスカの歌唱力に強い感動を覚えました。
この2人の歌声が重なるサビの完成度は驚異的であり、相反する特徴を持つヨミとカスカの歌声が全くぶつかり合うことなく綺麗に融合して生まれる歌声は、今のVESPERBELLだからこそ生み出せる芸術と言えます。

活動初期を思い出しながらも、当時とは比べものにならないほどに大きくなった2人の実力と自信を感じることができる、素晴らしいステージでした。
11曲目:天ノ弱
”革命デュアリズム”の後、間髪置くことなく2人は”天ノ弱”を歌いました。
”天ノ弱”は、ヨミのソロカバーとしてYouTubeに2022年に投稿されています。
実はこの”天ノ弱”、YouTubeだけでなく、当時ニコニコ動画で開催されていた「歌ってみたCollection 2022 Autumn」にエントリーすべく開設したVESPERBELLのニコニコ動画アカウントでも投稿されています。(ヨミはこの歌ってみたコレクションで「164部門」2位を獲得しました)
曲冒頭、ヨミとカスカの歌声に会場はしっかり聴き入っていましたが、まるで雲を払うかのようなキーボードの明るい演奏が始まった途端、弾かれたようにフロアから拳と声が上がり、非常に良い雰囲気が生まれました。
”天ノ弱”のメッセージ性のある歌詞を表現するかのようなヨミのしんみりとした歌声は、ヨミ自身の感受性の高さを物語っているようでした。
歌声でけでなく、曲の世界観そのものを届けてくれるヨミの表現力を改めて実感しました。

かわいい系だけで無く、今回はかっこいい系の歌声の魅力が光るカスカでしたが、ここでは清らかで爽やかな歌声を披露しました。
聴いているだけで心が洗われるような美しさと、エモさも感じさせる絶妙な歌声が会場を包み込み、カスカの歌声の魅力がまた一つ光りました。

Aメロ、Bメロはヨミとカスカが交互に歌っていきましたが、サビではヨミとカスカが美しいハモりで会場を一気に明るく照らしました。
フロア全体で観客が続々と腕をヨミとカスカの方に差し出しす光景は、「VESPERBELLを想うBELLS」を表しているようで、”天ノ弱”の切ないながらも深い愛を感じさせる歌詞に重なって見えました。
会場全体で”天ノ弱”という曲の世界観を体現した実に感動的な瞬間でした。

12曲目:カルマ
続けて二人が歌ったのは”カルマ”でした。
イントロにてカスカが「カバーラスト盛り上がってけーー!!」と言った通り、”カルマ”がカバー曲のパートのラストを飾りました。
現在も根強い人気を誇る”カルマ”ですが、実はこれまでライブで披露されたのはJR大阪駅およびREALITYのアプリ上にて開催された「バーチャル大阪駅3.0スペシャルライブ」のみであり、今回が2度目のお披露目でした。
バンドメンバーがかき鳴らす豪快なサウンドに合わせて、フロアからは「おい!おい!」という盛大な声が上がり、ヨミとカスカも同様に拳を突き上げて観客を煽りました。
その後、Aメロでは2人のエスコートによって観客の動作が一斉にクラップに変わり、そしてBメロでは腕を上げ、サビでは手のひらをステージに突き出すように掲げる動作が綺麗に統一され、素晴らしい一体感が会場を包みました。

VESPERBELLが過去に投稿した”カルマ”のカバー動画では、1サビ, 2サビでそれぞれヨミとカスカが分かれて歌っていましたが、「BEYOND」ではいずれのサビも2人によるハモりに変わっており、新たな”カルマ”のカバーとしてしっかりとアップデートされていた点が感動的でした。
ここでの2人のハモりが過去のライブの中でもトップクラスに美しく、VESPERBELLがVESPERBELLである所以を示してくれたようでした。
後日の振り返り配信によると、このハモりを提案したのはカスカだったようで、しばしば発揮されるカスカのセンスが光ったナイスアイデアでした。
Cメロでの、「それぞれのカルマを映す為の」の、若干溜めるようなヨミの歌い方は彼女の特徴の一つですが、このライブでもそれは健在でした。
なお、この部分は複数のBELLS、そしてカスカまでもが「ヨミの歌い方の好きポイント」として挙げているところであり、活動の年数を経てもそういったポイントが変わらず残っているのは嬉しいところです。

カスカの落ちサビでの歌声も見事でした。
儚さも感じさせる丁寧な歌声が観客の耳と心を優しく包み込み、直後のラスサビでの感動をさらに引き上げました。
カバー動画ではラスサビが全てユニゾンですが、今回は1サビ、2サビと同様に「忘れないで」「必ず」はハモりで歌い、それ以降はユニゾンとなっていました。
これにより、直前まで別々の音程で歌っていた2人がラストの「僕らはひとつになる」で歌詞の通りに一つとなり、同じ音程を歌うという絶妙な演出が誕生しました。
実にエモーショナルな雰囲気の中で、2人は”カルマ”を歌いきりました。

MC④
カバー曲パートを終えたところで、MCの時間となりました。
「我ながらハードな選曲をしてしまった」「オリ曲でもカバーでも(疲労感)は変わらない」と言って選曲への後悔を滲ませるヨミでしたが、今回のライブは生バンドもあって「過去一盛り上がった」と発言してくれました。
これにはカスカも同意のようで、二人からはバンドメンバーや関係者への感謝の言葉がありました。

そして、ここから最後までVESPERBELLのオリジナル曲のパートになることが告げられ、いよいよライブは終盤に突入していきました。
13曲目:ignition
オリジナル曲パートの再開を告げる曲は、”ignition”でした。
”ignition”は、過去2回の現地ワンマンライブ「RAMPAGE」、「RUMBLING」でも歌われており、今回の「BEYOND」も含めて現地ワンマンライブ全てで歌われてきた楽曲です。
これについては、曲自体の人気の高さもありますが、この曲のノりやすさ、そしてハモりの美しさが現地ライブと相性が良いことが理由として大きいように思います。
今回も、イントロではヨミとカスカの動きと声に合わせて「おい!おい!」と観客全員で大きな声を上げながら拳を突き上げることで、現場の熱量が一段と上昇しました。
また、Bメロでは頭の上でクラップをする動きが分かりやすく、綺麗に統一されていたのも印象的でした。

そしてサビ。ここではヨミとカスカの自慢のハモりが火を噴きました。
ライブではMVの音源よりもハモりをよく聴き取ることができるため、「VESPERBELLらしさ」がよりいっそう輝きを放ちます。
最高のハモりを全身に浴びながら、フロア全体で腕を振ることで、全員で盛り上がることができました。

また、バンドの演奏が非常に良く、Bメロやサビでのキーボードが前面に出た演奏により、”ignition”の新たな一面を垣間見ることができました。
ハモり良し。バンドならではの演奏良しの素晴らしいクオリティの”ignition”を聴かせてくれました

14曲目:或いは虚空に夢を視る
続けて、”或いは虚空に夢を視る”を歌唱しました。
イントロの演奏が始まった後、カスカによる「LIQUID~!」という叫びに続き、ヨミが「もっと声聞かせてくれよ!」と熱く呼びかけ、それに続く形で会場からは熱い声が上がりました。
また、この後にカスカが叫んだ「いくよ~~!!」の煽りは「RAMPAGE」や「RUMBLING」といった、これまでの現地ワンマンライブでも聴くことができているため、今後の現地ライブでも定番化する可能性が高いです。
実際、カスカのこの叫び声によって会場のボルテージは確実に上昇するため、是非ともこれからも聴かせて欲しい一言です。

もともと爽やかで疾走感溢れる曲だった”或いは虚空に夢を視る”ですが、生バンドで演奏されることによって、爽やかさや疾走感をそのままに、臨場感や迫力が増した曲へと生まれ変わりました。
この演奏の中でヨミとカスカの歌声が非常に伸び伸びとしており、最高に輝いていました。
また、サビの「煌めきを残して」や「そして全部がどうだっていい そう思えたら」などのメリハリを強調して歌うことにより、突き抜けるような爽快感を生み出しました。

15曲目:Bell Ringer
「ラストです。みんな出し切ってくれ」というヨミの声と共に2人が歌ったのは、”Bell Ringer”でした。
”Bell Ringer”は、今回の「BEYOND」のオープニングでもバンドメンバーが演奏していたことから分かるとおり、VESPERBELLにとっては”RAMPAGE”と同様、オリジナル曲全体の中でも代表的なライブ曲となっています。
「BEYOND」前の配信でヨミとカスカから共有があったとおり、”Bell Ringer”はおおよそノるポイントが決まっています。
〈Bell Ringer ノる際のポイント抜粋〉
※あくまで強制ではないため、各々の楽しみ方で大丈夫です
①サビ前「もっと高く」の前に『I’m Bell Ringer!!』と叫ぶ
②ヨミのパート「空の彼方へ恐れず羽ばたけ」「道の到達点を目指すだけ」等を一緒に歌う
③1サビ後「旋律は混沌の最中~~」で盛大にクラップする
④③の後にヘドバンする
ここまでしっかりとノり方が決まっている曲は、”Bell Ringer”を除くと”RISE”と”RAMPAGE”のみのため、これらの3曲はライブでの盛り上がりに重要な役割を担っている楽曲であることが分かります。
そのため、当日までにノれるよう準備を重ねてきたBELLSも多かったと思います。
いよいよヨミとカスカが歌い始め、まずは最初の「①『I’m Bell Ringer!!』と叫ぶ」ポイントがすぐ訪れました。
カスカも観客からの盛大な『I’m Bell Ringer!!』を期待してマイクをこちらに向けましたが、ここに関しては残念ながら上手くノり切れず、不発に終わった方が多かった点が今回の反省ポイントかと思います。(私も不発でした・・・)

これにはヨミとカスカも「あれ?」と思ったかもしれませんが、この不発を補うべく、この直後から観客の熱量と声量が上昇しました。
「②ヨミと一緒に歌う」に関しては、非常に大きな声で合わせることができ、その後のヨミのエスコートもあり、Aメロでは全員でクラップをして盛り上がりました。
そして再度訪れたサビ前の「①『I’m Bell Ringer!!』」のシーン。
カスカが「いくよー!」と声をかけてくれたこともあり、ここでは無事にフロアから最大ボリュームの『I’m Bell Ringer!!』が沸き起こり、あまりの熱気と声量に会場が揺れるような錯覚まで覚えました。

さらに、「③クラップ」でも非常に高い一体感と熱量を発揮することができ、曲は後半へと差し掛かりました。
そして直後の「④ヘドバン」で、会場の熱量が今回のライブの最高潮に達しました。
ここでは、曲冒頭にヨミが観客に伝えた通り、全員が『出し切る』つもりでヨミとカスカと一緒に全力で頭を振って叫び、最高のライブのクライマックスを演出しました。
ヘドバン後には、ヨミから本日2度目の「よくできました~」の声があり、再度会場から歓声が上がりました。

最高に盛り上がった雰囲気で迎えたラスサビでは、ヨミの歌声も叫び声に近いものとなっており、ヨミ自身の気持ちの高まりが感じられました。
その一方で、カスカは最後まで安定感に満ちた歌声で会場を盛り上げました。
最高に熱い雰囲気の中で”Bell Ringer”を歌いきった2人は、大歓声が沸き起こる中で、「ありがとうございました。VESPERBELLでした」という一言を残し、ステージから姿を消しました。

16曲目(アンコール):鳴動
VESPERBELLやバンドメンバーが退場したステージには、開演前と同様、「BEYOND」のロゴがスクリーンに映し出されるだけの状態となり、程なくして会場からはアンコールの声が沸き起こりました。

やがてバンドメンバーがステージに戻ってきたあと、「BEYOND」のロゴを映していたスクリーンが暗転し、会場は期待に満ちた歓声で満たされました。
直後、明転したステージの中央にVESPERBELLが登場し、バンドメンバーの演奏に合わせてアンコール曲である”鳴動”を歌い始めました。
王道バンドサウンドで奏でられるこの曲が、今回のライブで歌われないはずがありません。
生バンドによる迫力満点の演奏、そして狂乱の渦となっているフロアの熱い歓声が、会場の熱量を、そしてヨミとカスカの気持ちをさらに押し上げました。
「アンコールありがとう!」と言うカスカ、「まだまだ足りねーよなぁ!?」と言うヨミの声で、観客の拳がさらに高く掲げられました。

ここまで最高の演奏を見せてきたバンドメンバーによるサウンドと、ヨミとカスカの最高にかっこいい歌声が大音響で会場に響き渡り、過去最高の”鳴動”が観客に浴びせられました。

”鳴動”は、VESPERBELL最大のストロングポイントである「ヨミとカスカのユニゾン」を真正面からぶつけるという、実にシンプルながらも最高に効果的で破壊力のある楽曲です。
そのため、VESPERBELLが好きな人だけが集まった「現地ワンマンライブ」という会場のアンコールのタイミングでの”鳴動”は間違いなく最高の選択でしたし、現に凄まじい盛り上がりを実現しました。

MC⑤
”鳴動”を歌った後、このライブ最後のMCとなりました。
ここまで4度のMCがありましたが、話す内容としては非常に限定的であり、実質歌いっぱなしのような状況でした。
そのため、ここで今回のライブで初めて、ある程度時間をとってのMCとなりました。
話題1:バンドメンバー紹介
まずは、ここまで最高の演奏してくれたバンドメンバーの紹介でした。
VSingerという立場上、どうしても観客との次元の差が生じてしまうVESPERBELLとBELLSですが、今回はそのギャップを埋めて両者を繋いでくださったメンバーの皆さんに会場全体から拍手が送られました。
ギター:坂本夏樹
全身を使った豪快なパフォーマンスと、可愛い笑顔のギャップが素敵でした。

ベース:中村圭
寡黙なベーシストでしたが、ライブ中は観客を煽り、会場を盛り上げてくれました。
5弦、ピック弾きが特徴です。

キーボード:鳥山昂
クラップなど、観客への煽りまで積極的に担ってくれていました。
外見が歌手で俳優の星野源さん似ということで、ヨミ イチオシの方です。

ドラム:ホリエマム
爽やかな笑顔が素敵。演奏中のキツそうな表情とのギャップも素敵でした。

話題2:ライブグッズ紹介
続いて、ライブグッズの紹介に移りました。
カスカのおすすめグッズはライブTシャツとのことでした。
こちらのTシャツはオーバーサイズであるため、マッチョや巨人も着用できることがおすすめポイントとのことで、まさにカスカらしいチョイスでした。
続いてヨミのおすすめグッズは、タトゥーシールとのことでした。
「ライブっぽい」という点と、「シールだからライトにVESPERBELLを背負える」(VESPERBELLのことは一生背負ってほしいが)という点をおすすめポイントに挙げていました。
そして、早いもので次の曲が正真正銘のラストとなるとのことで、寂しさを抑えながら2人は最後の曲に突入しました。
17曲目:RISE(アンコール)
「BEYOND」のラストを飾ったのは、”RISE”でした。
”RISE”はVESPERBELLにとって初のオリジナル曲であり、これまで大抵のライブで歌ってきた、VESPERBELLにとって非常に重要な曲です。
それほどの大切な曲である”RISE”がここまで来て歌われていないということは、最後の曲が”RISE”でないはずがありません。
VESPERBELLが最も歌ってきた曲である”RISE”の安定感は、ヨミとカスカだけでなくBELLSも含めて素晴らしく、イントロからAメロまで継続するクラップが会場で完璧に揃っていました。

また、サビでの「もっともっともっともっと」や「ずっとずっとずっとずっと」の部分は観客も思いっきり声を出して歌い、ヨミとカスカと観客、そしてバンドメンバーの全員で、この会場でしか聴けない”RISE”を作り上げることができました。

VESPERBELLとBELLSで声を合わせ、最高の盛り上がりの中で”RISE”を歌い切った2人は、バンドメンバーが楽器をかき鳴らす中で飛んだり回転したりと自由に動き回り、無事にライブが成功した喜びを全身で表現しました。
最後は2人同時ジャンプのタイミングに合わせてバンドメンバーが「ジャーン!」と音を奏でるという、いかにもバンドライブらしい形でライブを締めました。

「ありがとう!VESPERBELLでした!」「またね!」という言葉を残し、この日最大の歓声と拍手を受けながらヨミとカスカがステージを後にして、無事に「BEYOND」は終演しました。


終演後
終演後、あまりの余韻から会場では冗談半分に再度アンコールの声が上がっていましたが、さすがにダブルアンコールは実現せず、会場は心地よい余韻で満たされていました。
その中で、ステージ上手側にいた観客がざわめく声が聞こえ、会場の至る所から注目が集まりました。
直後、舞台袖から「はよ帰れー!」という女性の叫び声が聞こえ、会場全体にざわめきが伝搬しました。
なんとこの声の主はヨミで、舞台袖からマイクを介さずに観客に声をかけてくれたのでした。
実は「BEYOND」終演後、ヨミとカスカが舞台袖から「おーい!」や「大好きだよー!」と声を出してくれていたのですが、アンコールに夢中になっていた大半の観客にその声が届かず、最後にヨミが発した「はよ帰れー!」だけがしっかりと聞き取られたようです。
完全に想定外だったとはいえ、ヨミとカスカから直接届く言葉を聞き逃したことはBELLSとして痛恨の極みです。
次回以降は終演後も油断できませんね。
終わりに
「VESPERBELL 3rd ONE-MAN LIVE BEYOND」のライブレポートでした。
VESPERBELLが初めて開催した生バンドライブとなった「BEYOND」は、最初から最後まで凄まじい熱量に包まれた情熱的なライブとなりました。
ヨミがライブ前、ライブ中のMC、そしてライブ後にも語っていたように、VSingerという活動の形態上、VESPERBELLと私たち観客に次元の差が生じてしまうことは避けられず、ある種の距離感を感じていたようでした。
また、これまでのライブでの熱量の高さを認めつつも、この次元の差によって、純粋なライブとしての「一体感」や「盛り上がり」以外にも、多少なりともライブ「鑑賞」の意味合いが現地の会場でも生じていたことにもどかしさを覚えていたようでした。
普段から、「現地に来てくれたからにはぶち上げて帰す」ことに全力を注いでいるヨミにとっては、この壁がいかに高くそびえ立っていたことか、そしてどれほど乗り越えたいと思っていたか、想像に難くありません。
そのようなもどかしさを晴らし、「VESPERBELLがこれまで踏み込めなかった新たな一歩」を実現したのが、今回のバンドライブでした。
バンドメンバーがステージ上に存在することにより、「演奏」という役割以外にも、「VESPERBELLと観客を繋ぐ」役割を果たしました。
VESPERBELLが伝えたい音楽や言葉や気持ち、逆に観客が発する熱量やVESPERBELLへの愛がバンドメンバーを介してお互いに伝わることにより、ヨミとカスカのパフォーマンス、そして観客の没入感や会場の一体感がより高いレベルに達したと感じています。
その結果として、「BEYOND」での熱量は間違いなくこれまでのVESPERBELLの現地ライブ史上で最高のものでした。
この熱量を生み出したヨミとカスカ自身も、会場の熱量でさらに高いパフォーマンスを発揮し、最高の歌声を届けてくれました。
『素晴らしい歌声をあなたに。』
これはVESPERBELLが活動初期からカバー動画の告知ポストなどに使用していたキャッチコピーでしたが、運営の体制変更あたりから使用されなくなっていました。
このキャッチコピーが復活した今回の「BEYOND」では、ヨミとカスカの最高の歌声に、生バンドの演奏、そして現地の観客の歓声と歌声が組み合わさり、この瞬間でしか生まれない歌声が誕生しました。
単純な歌唱力では実現し得ない、本気のアーティスト、本気の観客の熱意が揃って生まれる歌声。
VSingerという枠を超え、次元をも超えた先で生まれた歌声。
まさにこの歌声こそが、VESPERBELLが掲げており、ずっと表現したかった『素晴らしい歌声』なのではないでしょうか。
現地でこのライブに参加した私たちは、この奇跡の瞬間を目の当たりにしたと確信しています。
しかし、ライブの配信やアーカイブでは現地ほどの臨場感や熱量を感じることができないうえ、観客の声量がかなり落とされているため、残念ながらこの『素晴らしい歌声』を体感することができません。
やはり、VESPERBELLが生み出す『素晴らしいの歌声』を聴くには、現地に行くほかないのです。
現状のVESPERBELLの知名度や規模では、休日に大きな会場を確保することが非常に難しいのが現実です。
そのため、スケジュール上どうしても現地に行けない方も少なからずいらっしゃるかと思いますが、調整が可能であるのならば、平日であっても何としてでも現地会場に行ってみることを強くお勧めします。
ヨミとカスカの『素晴らしい歌声』には、それだけの価値があると私は確信しています。
きっといつか、どこかで開催されるであろう「VESPERBELL 4th ONE-MAN LIVE」では、「BEYOND」よりも遙かに多くの方が『素晴らしい歌声』の当事者となることを願います。
私は既に、新たな『素晴らしい歌声』の誕生が楽しみでなりません。
ozataro
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